ガヴィの個性を大切にする、ビオディナミの造り手

ラ・ライアは、イタリア・ピエモンテ州ガヴィの地で、ジョルジョ・ロッシ・カイロ氏によって設立されたカンティーナです。かつてガヴィは、大手ボトラーによる大量生産・低価格ワインの産地として扱われ、本来の個性や価値が見えにくくなっていた時代がありました。農薬の使用や工業的なワイン造りが広がる中で、ガヴィというワインは少しずつ存在感を失っていきます。 自然が失われ、土地が消耗されていく姿を目の当たりにし、ジョルジョ・ロッシ・カイロは深い悲しみを抱いたといいます。そして、故郷への恩返しとして広大な土地を購入し、ビオディナミによる自然環境の再生に取り組み始めました。
2007年にはガヴィで唯一、デメテール認証を取得。
ラ・ライアが目指しているのは、有名な造り手になることでも、流行としてのナチュラルワインを造ることでもありません。故郷の代名詞であったガヴィを、本来の姿で復活させること。そのために、ブドウの力を高めるビオディナミ、コルテーゼの個性を引き出す野生酵母、繊細な香りを守る低温発酵など、すべての仕事がガヴィの品質を高めるために向けられています。
森・湖・畑・動物が共存する、本当の自然環境

ラ・ライアの敷地は約180ha。そのうちブドウ畑は約40haでファッソーナ牛の放牧地や野菜畑のほか、広大な森や湖が残され、養鶏や養蜂も行われています。この地域の生態系を守り、未来へつないでいくことも、彼らの大切な使命なのです。畑だけを切り取って管理するのではなく、鳥や昆虫、動物、植物が影響し合う自然の循環を大切にしています。
2002年以降、敷地内では農薬や除草剤を使用せず、牛糞や雑草、ブドウ樹から作る自家製コンポスト、ビオディナミ調剤、緑肥などを用いて畑を整えています。必要な場合にのみ、極少量の銅や硫黄を使うなど、環境への負荷をできる限り抑えた栽培を行っています。 ワインは本来、森や動植物が互いに影響し合う、生物多様性の中から生まれるものです。 このような多様な生態系の中で育つブドウだからこそ、ラ・ライアのワインには、清らかさだけでなく、土地の奥行きや自然な生命力が感じられます。
難しい品種コルテーゼを、正確な仕事で美しく仕上げる

コルテーゼは、非常に繊細で扱いの難しい品種です。特に樹勢が強く、収量をしっかり制限しなければ、味わいの薄いワインになりやすいという特徴があります。この性質から、かつてガヴィは大量生産され、安価なワインとして扱われることも少なくありませんでした。
ラ・ライアでは、春の芽かきの段階から芽の数を減らし、生育サイクルの初期から栄養を限られた果実に集中させています。さらにグリーン・ハーヴェストによって最良の房だけを残し、一般的なガヴィの半分程度まで収量を抑えることで、果実の凝縮感と品種本来の個性を引き出しています。
コルテーゼのもう一つの難しさは、酸化に弱いことです。柑橘や白桃を思わせる熟した果実の香りを豊かに持ちながらも、酸素に触れることでその香りは失われやすくなります。そのため、モストにできる限り酸化ストレスを与えず、ブドウが果実の時に持っていた香りや味わいを、そのままワインに移してあげることが大切です。
ラ・ライアでは畑がカンティーナに隣接しているため、早朝に収穫したブドウを、温度が上がる前に素早く冷蔵庫へ移します。一晩置くことで虫を逃がしながら、果実の中心部までしっかり温度を下げ、15度前後の低温から発酵を始めることができます。
また、醸造所は厚い土壁と高い天井を備えており、発酵中の温度上昇を穏やかに抑えることができます。低温でゆっくりと発酵させることで、揮発しやすい香りを失わず、ブドウが本来持っていた香味成分を丁寧にワインへ移していきます。発酵中の温度は決して28度を超えることがなく、コルテーゼの繊細な魅力を守るための細やかな仕事が徹底されています。