かつてプティ・オー・ブリオンと呼ばれていたシャトー

シャトー・レ・カルム・オー・ブリオンは、ボルドー市に畑の区画がある唯一のシャトーです。自転車で5分ほどでボルドーの市街地につくほど近い! メドック格付け第一級のシャトー・オー・ブリオンがすぐ南に隣接しており、歴史的にオー・ブリオンの一部だったという経緯もあり、当時は「プティ・オー・ブリオン」とも呼ばれていました。 カルメル会修道院が1584年以来始めたシャトーですが、1840年にネゴシアン・シャントカイユ家が買収し、名称を「カルム・オー・ブリオン」としました。そして2010年にピシェ家が買収し、そこから革命がはじまります。これまではヨーロッパの国のみで流通しており日本での認知度は低かったのですが、ピシェ家に代わって以来、日本へも極僅か流通するようになりました。
ボルドー左岸でカベルネ・フラン主体の赤ワイン

ボルドー左岸では珍しく、カベルネ・フランをメインに使用しているのがこのシャトーの大きな特徴です。畑にはカベルネ・フラン50%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、メルロー20%の割合で植樹され、カベルネ・フランは1940年に植樹したものを含め、平均樹齢約50~60年となっています。 左岸ではありますが、市街地に近く温かいテロワールの為、カベルネ・フランは茎まで赤くなるほど完熟し、青さはなくフローラルでフレッシュな果実味を表現できます。しかしながらタンニンは決して少なくなく、長期熟成を可能にするほどしっかりと含まれています。
全房発酵とアンフュージョンによる果房管理

全房発酵といえばブルゴーニュ地方やローヌ地方ではよくききますが、ボルドーでは基本タブーとされています。しかしながら、シャトー・レ・カルム・オー・ブリオンは「ボルドーで唯一、全房発酵を採用しているシャトー」なのです。全房発酵による、アイデンティティを表現できる理由としては下記の4つ。
1.アルコール度数が下がる。 2.茎の中のナトリウムがワインに塩気を与える。 3.フレッシュ感や活き活きした酸味を与える。 4.全房発酵特有の風味を与える。
また、アンフュージョンによる果房管理では、他のシャトーのようにピジャージュやルモンタージュをせず、タンクにジュースを満たし果房を上から抑えて圧力を維持することでゆっくりと抽出しています。そうすることで種からのタンニンでなく、果皮からの良質なタンニンのみを出すことで、より柔らかなテクスチャーが生み出されています。
生産者ディナー会に参加

生産者ディナーに参加し、シャトーのコマーシャル・ディレクターのティボー・リシャールさんの説明を聞きながら、シャトー・レ・カルム・オー・ブリオン2019年と、ル・セ・デ・カルム・オー・ブリオン2021年を試飲しました。
全房発酵のピュアさと柔らかで親しみやすいスタイル。これまでにないボルドースタイルに嬉しい驚きでした。若くても十分美味しく、ティボー・リシャールさん曰く「偉大なワインは熟成しなくても偉大なワインである。」という言葉が心に刺さった1本です。でも、5年くらいは熟成してみたい。とっても艶やかでエレガントなボルドーワインに酔いしれました!
生産量は非常に少なく、世界的な需要が高いため日本への入荷量は極わずか。2020年ヴィンテージがヴィノスとデキャンタにて100点を獲得し、2022年ヴィンテージはワイン・アドヴォケイト、ヴィノスとデキャンタにて100点を獲得したことでも大きな注目を集めています。