ドメーヌ・ボー 研修レポート
DOMAINE BEAU WINERY REPORT
ドメーヌ・ボー 研修レポート
富山のテロワールを訪ねて
富山県南砺市にあるワイナリー「ドメーヌ・ボー」を訪問し、 ブドウ畑から醸造設備、直営店まで見学させていただきました。

栽培環境や醸造方法について、実際の畑や設備を見ながら詳しくお話を伺い、 富山という土地でワインを造るための工夫や考え方を学ぶことができました。

今回の研修で印象に残ったことを、写真とともにご紹介いたします。
1.ブドウ畑へ
まずはブドウ畑を見学しました。

畑は標高約170m。 三方を高い山に囲まれたエリアで、風は通るものの、 夏は気温・湿度ともに高く、昼夜の寒暖差も極端に大きい土地ではありません。

もともとは果樹園や畑として利用されていた土地が多く、 区画ごとに段差のある地形になっています。 周辺は渋柿(干し柿)の名産地としても知られ、柿畑が多く見られました。 ブドウ畑の多くは、かつて露地栽培のイチゴ畑だった土地で、 高齢化などにより耕作されなくなった場所を活用しているそうです。

土壌は粘土質で、水はけについても決して容易な条件ではありません。 富山ならではの高温多湿な気候や降雨と向き合いながら、 さまざまな工夫を重ねてブドウを育てていることが印象的でした。

シャルドネは垣根仕立てで栽培され、列の間隔は約1m。 粘土質の土壌でも根が地中深くまで伸びるよう、密植されています。 さまざまな品種が植えられており、 2019年頃から本格的に植樹が始まったため、 樹齢はまだ若く、最も古いものでも7年ほどとのことでした。

ブドウの房に直接雨が当たると病害のリスクが高まるため、 ビニール製のレインガードを設置。 レインガード周辺は風通しを良くするため、適度に葉を取り除く除葉も行われています。

また、畑は電気柵で囲まれ、小動物による被害への対策も行われています。 特にアナグマが多く現れ、ブドウを食べてしまうことがあるそうです。 さらに、カベルネ・ソーヴィニヨンの畑の近くにはスズメバチの巣もあり、 ブドウの実をかじられることで果実がしおれ、大きな被害につながることもあるとのことでした。
ドメーヌ・ボー ブドウ畑
広大な敷地に広がる、樹齢7年のシャルドネ。
ドメーヌ・ボー ブドウ
雨からブドウを守るレインガード。
富山ならではの冬

冬には1.5mほど雪が積もることもあるそうです。 雪がブドウ樹を覆うことで、冬の厳しい寒さから樹を守る一面もあるとのこと。 北陸ならではの環境を生かしながら栽培が行われています。
2.直営店を訪問
続いて、ドメーヌ・ボーの直営店へ。

大きな窓から周囲の自然を望むことができる、 明るく開放感のある空間です。 店内にはドメーヌ・ボーのワインが並び、 ワインのほかにも地元の食品やお菓子などが販売されています。

ワインのテイスティングを楽しめる設備も整えられており、 ブドウ畑や富山の景色を眺めながら、 ゆっくりとワインやスイーツを楽しむことができます。
ドメーヌ・ボー 直営店
ドメーヌ・ボーのワインが並ぶ直営店。
ドメーヌ・ボー 店内
大きな窓から自然を望む、開放的な空間。
3.醸造設備を見学
醸造所では、収穫したブドウがワインへと変わっていく工程を、 実際の設備を見ながら詳しく説明していただきました。

特に印象的だったのは、 作業動線を考えて配置された非常に充実した醸造設備です。 2020年から醸造が始まったこともあり、 設備は新しく、とても清潔に保たれています。 温度管理が可能なタンクが並び、 中には特注で造られた四角形のタンクもありました。 ブドウの状態や品種に合わせて、細かな温度管理を行いながら醸造されています。

収穫されたブドウは品種ごとに分け、 バルーン圧搾機を使ってやさしく圧搾。 果実に過度な負担をかけず、 雑味の少ないクリアな果汁を得るための工夫がされています。

一日ですべてを処理できない場合には、 収穫したブドウを計量した後、約0℃の冷蔵庫で一時保管するなど、 品質を保つための管理も徹底されています。

醸造長は日本酒蔵での経験もあり、 白ワインは約10℃という比較的低い温度でゆっくり発酵させることで、 ブドウの華やかなアロマを引き出しています。

アロマティックな白ワインの瓶詰めでは、 窒素を使用しながら作業することで酸化を防ぐなど、 細かな工夫も取り入れられていました。

また、ボトルの約99%にスクリューキャップを採用。 「気軽にワインを楽しんでほしい」という想いに加え、 スクリューキャップでも十分に熟成させることができることから採用されているそうです。
ドメーヌ・ボー 醸造設備
充実した設備が並ぶ醸造所。
ドメーヌ・ボー 選果
収穫したブドウを丁寧に選別。
ドメーヌ・ボー 圧搾
バルーン圧搾機で、ブドウをやさしく圧搾。
ドメーヌ・ボー 発酵
温度を細かく管理しながら発酵。
ドメーヌ・ボー 樽熟成
樽の中でゆっくりと熟成するワイン。
ドメーヌ・ボー 瓶詰め
酸化を抑えながら丁寧に瓶詰め。
ワインの貯蔵について

バックヴィンテージは販売できるほど多く残っておらず、 現在の貯蔵スペースもかなり埋まっているとのこと。
セラーには、数年後のリリースを予定しているスパークリングワインも 静かに熟成の時を待っていました。
今後も畑を増やしていく計画があるそうで、 これからのワイナリーの発展も楽しみです。
4.テイスティング
見学後には、ドメーヌ・ボーのワインをテイスティング。

畑の環境や醸造方法についてお話を伺った後に味わうことで、 一杯のワインの背景にある土地や造り手の工夫を、 より身近に感じることができました。

栽培から醸造まで一貫して携わるスタッフの方から、 品種や醸造方法について一つひとつ丁寧に説明していただき、 大変勉強になる時間となりました。
ドメーヌ・ボー テイスティング
ワインを飲み比べながら、それぞれの特徴を確認。
ドメーヌ・ボー テイスティングルーム
富山の景色を眺めながら楽しむテイスティング。
印象に残ったワイン

たくさんのワインを飲み比べましたが、 今回特に気に入り、仕入れたワインはこちら!

シャルドネ 2023
白桃を思わせる甘やかな旨味と、凝縮感のあるリッチな味わい。

メティス(アルザス系ブレンド)2025
バラやライチを思わせる華やかな香り。 アルザス系品種の個性を生かしたアロマティックな一本。

ピノ・ノワール 2024
古樽を使用した、スパイシーで滋味深い味わいが魅力の一本。
5.余談~アナグマと周辺グルメ~
ここからは研修の少し余談。

ワイナリー周辺で出会ったものや、富山ならではのグルメもご紹介します。 ワインだけでなく、その土地の自然や食文化に触れられるのも、 現地を訪れる楽しみのひとつです。
メルローアイス
ワインと一緒に楽しんだメルローのソフトクリーム。
アナグマ
自社畑のそばで、アナグマとの思わぬ出会いも。
富山 周辺グルメ 萱笑
地元で人気のお蕎麦屋さん「萱笑」。
ドメーヌ・ボー お土産
シャルドネを使った、ドメーヌ・ボーならではのお土産も。
研修を終えて
今回実際に現地を訪れて印象的だったのは、 富山ならではの気候や土壌と向き合いながら、 充実した設備と細かな管理によってワイン造りを行っていることでした。

決して容易な栽培環境ではないからこそ、 畑での管理、収穫後の温度管理、醸造設備など、 一つひとつの工程に細かな工夫が重ねられています。

まだ若いブドウ樹も多く、 これから畑が成長していくにつれて、 ワインがどのように変化していくのかも楽しみです。

ぜひ富山の風景や造り手の想いに心を馳せながら、 ドメーヌ・ボーのワインをお楽しみください。
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